「ナイス・ジャケッツ!」
デザイナー・川島弘世



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第2回 「ペンギンつどう」

鳴き声は奇声のよう、何より空を飛べない鳥であるのは事実で…ちょっとせつない。でも愛らしいので、とてもナイス!
今回集っているのは、みなアデリー・ペンギン?

THE FIELD MICE sensitive
THE FIELD MICE sensitive
fig.1
THE FIELD MICE
sensitive (front+back)
release: sarah (sarah18), 1989
penguins: catherine brighty

◆ペンギンといえば、フィールド・マイス!
サウンドもジャケットも見事に蒼い7インチ作品『sensitive』を一番に挙げたい。ひたむきにかき鳴らされるギターが響くせつない名曲。かわいらしいだけじゃなくて、結構とんがっている。彼らの作品全体のアートワークもそう。それはまるで、80年代初頭のファクトリーとピーター・サヴィルのデザインのように……コマーシャルなものでなく、いたってシンプル。

◆ピーター・サヴィルは、JOY DIVISION〜NEWORDERといったファクトリーを代表するアーティストのアートワークを手掛けていた。当時のストイックでミニマムな作品にはファンが多く、後の世代に与えた影響も大きい。音楽同様、そのアートワークにも、徹底した美学を持っていたのが、ファクトリーだと思う。その精神が、与えた影響もはかり知れない。フィールド・マイスは、まさにそんなファクトリー・チルドレン。

◆それにしても、このペンギンたち、素朴でいい感じ。特色1色刷りというのも味わい深くて良かったなあ、としみじみ。

RIDE fall.ep fig.2
RIDE fall.ep
release: creation, 1990
penguins: tara

◆アートスクール出身のライドの4人が、自分達でそのコンセプトを決めていたというだけあって、「赤ライド」「黄ライド」「ペンギンライド(fig.2)」と、正式なタイトルでなく、ジャケットのイメージでファンの間では親しまれている。これってすごい。
初めて出合った「一生(多分)思い入れのあるバンド」。
解散後の活動は賛否両論…でも、まだまだ蒼くてとんがっていた初期のライドはアートワークも含めて最高にナイス!
この後リリースされたアルバムは「波」、続くシングルは「鮫」と、しばらく海の時代が続く

90°SOUTH
90°SOUTH
fig.3
90°SOUTH
a distant memory of home
(front+back sleeve)
release: AAR, 2001
design: samantha matthews+
90°south+steve moody

◆音楽もアートワークも、リリース全てにおいて「南極」であったり「旅」であったりというイメージを奮起させる徹底ぶりはナイス&リスペクト!
この作品(fig.3)では、CDケースのトレイの中や裏にまでもアデリー・ペンギン満載。手にとってのお楽しみということで、ここではスリーブのみご紹介!

EMPEROR PENGUIN
EMPEROR PENGUIN
fig.4
EMPEROR PENGUIN
extreme gaming
(front sleeve+back)
release: my pal god, 1999
sleeve photo: matt biscan

◆思わず吹き出してしまうおかしなジャケットでナイス! おちゃめなブレイク・ビーツがたっぷり詰まっている。





第1回 「タソガレる」
第2回 「ペンギンつどう」
第3回 「ペットサウンズ」

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